前編(https://wrike.groots.co.jp/blog/pm-162c5f4a-ca51-4960-8c90-4a623c7bd67c)では、プロジェクトスタート時に行う「キックオフのもつ意味合い」と、「こんなキックオフだと失敗可能性が高い!」という事例を紹介しました。
後編では、キックオフミーティングの成功のポイントを書いていきたいと思います!
キックオフというひとつの会議も、実はひとつの小さなプロジェクトなのです。いわば、「キックオフ成功プロジェクト」です。優秀なPM(プロジェクトマネージャー)は、この小さなプロジェクトでも手を抜かず、キックオフ後にはプロジェクトメンバーがこんな状態になっていれば成功である。という定義を作り、この小さなプロジェクトであるキックオフミーティングを準備・進行しているはずです。
成功するプロジェクトのキックオフ
筆者が経験してきたキックオフの中でも、このPM(プロジェクトマネージャー)のもとで、このプロジェクトの体制であれば、きっと困難なことがあってもプロジェクトが成功するだろうな。わくわくとした気持ちになり、この後からがしがしタスクを割り振ってほしい!とさえ思ったキックオフのポイントをいくつかまとめて紹介したいと思います。
①PM(プロジェクトマネージャー)によりキックオフのアジェンダが考え抜かれている
チームとして、プロジェクトのスタートを気持ちよくきれるかどうかが掛かっているキックオフ。その重要性を理解し、キックオフに向けてPM(プロジェクトマネージャー)がアジェンダをきちんと考えてきて、キックオフの時間で伝えるべきことが整理してある状態が理想のキックオフといえるでしょう。
キックオフの目的である以下の3つは必ずアジェンダに入っています。
- プロジェクトの方向性
- プロジェクトの体制図を示し、役割を説明する
- スタート段階で現在見えているプロジェクトに必要な情報を伝える
重要なのは、アジャイル型でのプロジェクト進行が前提であっても、また、まだ目指すべき姿も決まりきっていない場合でも、「プロジェクトが立ち上がった背景」を「自分の言葉」で話せる状態にまでPM(プロジェクトマネージャー)が準備をしてきていることです。プロジェクトメンバーは、このプロジェクトで自分が果たすべき役割を確認するとともに、プロジェクトが成功するとどんな良いことがあるのかを知りたいと考えています。優秀なPM(プロジェクトマネージャー)は、キックオフの場で、自分の言葉でこのプロジェクトの成功の定義を伝えているはずです。
②キックオフ後から、具体的にどうやってプロジェクトが進むのかが理解できた状態になっている
キックオフが終われば、プロジェクトはいよいよスタートです。しかし、キックオフが終わったのに、この後自分は何をすればいいのだ?と指示待ち状態に陥ってしまうことが実は多々あります。それではキックオフをした意味がありません。この後の具体的な進め方が分からずに終わるキックオフは極端な言い方をすれば何の意味もありません。
キックオフでは、
- これから誰の指示がどの人にいくのか
- これからどのような手順で仕事は進めるのか
- 最初のタスクはいつまでに終わらせるのか
くらいまで、具体的なアクションがプロジェクトメンバー全員がイメージできる状態にしましょう。
③メンバー全員が自分の役割と、互いの責任範囲を理解している状態になっている
アジャイル型で進行するプロジェクトは、多くの場合想定外のトラブルや、プロジェクトがスタートする段階では、問題意識が及んでいないところから課題が噴出したりするものです。
その際に重要なのは「自分の責任範囲がどこまでか」という認識をプロジェクトメンバー全員が同じ理解をしていることと、想定外のことが発生した時は、どのような対応をするかの認識を全員が持っていることです。
具体的にいうと、例えば、
- ・どんな小さなことでもすぐに課題一覧表に必ず書き込み、そのことを必ず周知しましょう。
- ・即PM(プロジェクトマネージャー)充てにメンションをしましょう
などのレベル感の取り決めで大丈夫でしょう。
重要なのは、プロジェクトというのは不足の事態が起きるものであり、起きた場合はまずこのような形で周知し、相談して進めましょう。という状態がつくれていることです。
まとめ
前編・後編の2回にわたり、アジャイル型で進行していくプロジェクトにおけるキックオフの位置づけと、PM(プロジェクトマネージャー)として知っておくべきキックオフ成功のポイントをまとめてきました。
キックオフは、PM(プロジェクトマネージャー)にとっては小さなキックオフ成功を目指したプロジェクトです。この小さなプロジェクトすら成功させられないPM(プロジェクトマネージャー)に、より大きなプロジェクトを成功するのは困難です。
もしあなたがPM(プロジェクトマネージャー)であれば、どんなに忙しくても、どんなにプロジェクトを掛け持ちしていても、キックオフの準備は入念に進めましょう。
そして何よりも重要なことは、PM(プロジェクトマネージャー)として、プロジェクトを成功させたいという「思い」を自分の言葉で伝えられるようにしましょう。
大げさな演説をキックオフでする必要はありません。PM(プロジェクトマネージャー)として、きちんと当事者意識をもって攻めの姿勢で関わっていることが、プロジェクトメンバーの士気を挙げるのにはとても大切なことなのです。